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<<   作成日時 : 2009/01/12 11:37   >>

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 寝室を遮光カーテンにしているせいか、朝布団のなかで目を醒ましても部屋の中は暗い。サイドテーブルの明かりを点け時計を見るとまだ5時を過ぎたばかり。四肢を伸ばし、大きな欠伸をひとつ。手元のリモコンをボタンを押してテレビを点ける。暗い部屋のなかでテレビの画面が白く浮かび上がる。温もりのなかで一通り各局のニュースを観るが、どこも内容はおなじ。朝青龍が初日勝って、井戸田潤と安達裕美実が離婚で、釧路は大雪だ。

 テレビを消す。再び部屋のなかは暗くなり、私は目を閉じる。しばらくうとうとしていると、6時30分を知らせる目覚まし時計のアラームが鳴る。今日は「成人の日」で私の会社も休日なのだ、と思いながらアラームのスイッチを切る。起きようか、起きまいか、程よいスプリングの利いたベッドのなかでグダグダ迷う。タオル地のシーツとたっぷりとしたダブルサイズの羽毛布団に包まれて蕩けそうになるほど快適だ。うつらうつらとあれやこれや思う。

 5日の仕事始めから数日経ったが、このところの会社の業績は想定外に思わしくない。ネガティブな想像がこみ上げてきて不安で胸が苦しくなる。オーナー経営者の立場だったら皆そうだろうと思う。まあ、いい。打つ手は考えてある。反転、プライベートでは今年も楽しい一年になりそうな予感がする。手を伸ばし読書灯をつけ、気分を変えようと昨夜読みかけていた本を手に取る。「ミッツ」シークリット・ヌーネス著、副題に[ヴァージニア・ウルフのマーモセット]とある。

 『いや、それは止そう。レナードは彼女を止めた。レナードが彼女を止めるのはこれが初めてでも最後でもなかった。相手の思う壺にはまってはいけない、とレナードは諭した。公の議論に引きずりこまれれば、事態は悪くなるばかりだ。それじゃ、こんな悪口を放っておくの?とヴァージニアは尋ねた。無視するんだよ。仕事を続けるんだ。でも、仕事ができなくなったら?もし、そうなったら?もしこのような攻撃に動揺して、書けなくなってしまったら、そしたらどうすればいいの、マングース?そのときは、また書けるようになるまで、本を読んでいればいい。本はそのためにあるんだよ。

 こんなふうに二人は話し合った。夫と妻、作家同士として、二人はサーペンタイン池の周りやケンジントン公園を散歩しながら、話し合った。』

 『ウルフ夫妻は年間を通してロドメルに行った。週末や休日、また短い休暇のこともあった。また毎年、夏はたいていロドメルで過ごした。「修道僧の家」でも、二人はロンドンにいるときと同じ時間に起き、同じ日課をくり返した。こちらには庭があり、レナードは熱心に手入れをした。それに、球技のできる青々とした芝生があった。李、梨、林檎の木があった。何エーカーも続く丘陵地帯と河によって運ばれた肥沃な土地を持つ草地があり、そぞろ歩きにはもってこいだった。』

 私はイギリス旅行の際に立ち寄ったケンジントン公園や、夫妻が「修道僧の家」と呼んだ別荘のあるロドメルを思い出しながらなつかしくページをめくる。森のなかを散歩する夫妻の姿さえ目に浮かぶようだ。そうして数ページ読み進めてから再び目を閉じて眠った。

 昼前に目を醒ます。食事をすませ、洗濯物をベランダに干し、ステレオに尾崎紀世彦のCDをセットして日本語の「ゴッドファーザー・愛のテーマ」、英語の「マイ・ボーイ」を数回リピートして聴く。昼からスパに行こうと思う。

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